前日の到着が日没後だったため、水窪の街並みを知るとこができたのはこの時間になってからでした。市街東側の高台にある駅前広場から眺めた水窪の街は、周囲の山々からまだ陽が昇り切らない時間でもあり、眼下に水窪川を控えてとても静かな家並みです。
前日に水窪はかつて栂(ツガ、国産ツガ。輸入材のベイツガではありません)の産地であったと聞きました。その当時はこの街も林業に携わる人たちで賑わい、水窪川を使って多くのツガの丸太が運ばれたことと思います。地図を広げると水窪は県境の街で、隣接する長野県飯田市へ続く国道の峠道は、あまり整備されていないように読めます。未だ人が入ることができない山があり、そこには天然のツガが今でも眠っているのでしょう。
昨晩投宿した宿の若女将に聞くと、この水窪駅も以前は日中業務委託駅だったようで、白いモルタル壁の駅舎と清涼飲料水の自販機を残して最近に無人駅になったそうです。
日曜日朝のこの時間、地元の高校生と思える男子生徒が白い息を吐きながらひとり、交換する上り豊橋行きの列車に乗り込みました。