現在の住宅建築で使用される梁桁材は、残念ながら集成材やベイマツの人工乾燥材が主流になってしまいました。我々木材小売業者を初めとして建築設計事務所など、流通の末端で木材を扱う建築業者の多くは、もはや梁材はそれが当たり前で他に選択の余地は無いような姿勢を見受けます。
今回のヒノキ製梁の選択は、それら工業製品に変わる国産材使用を考えての結果でした。
すでに五十路の坂を転がる市井一介の木材商として。
原木の確認と100年生超の高樹齢材、加工時に減少する歩留まりを見越した製材寸法。
じゅうぶんな自然乾燥期間から追った納期、納品時の曲がりを取った二度挽きの製材。
国産ヒノキ材の市場価格がここで下がった現在、ヒノキ製梁の使用はそう困難な選択ではありません。建て主さんにとっては、構造躯体の耐久性と加工精度が格段に向上します。
さらにヒノキの経年強度は、集成材使用物件の初期強度など足下にも及びません。
稲生商店さん、上着と手袋に付いたヒノキの香りが離れません。
わずかな数量ではありましたが半年間に渡りお世話になりました。