久し振りに建具屋さんの作業場です。いつもであれば彼の建具職としての技量をお伝えしようと努めるところ、今回の主役は間違い無く彼が加工している天然ヒノキです。
樹齢約300年生の天然ヒノキ、こちらの作業場に預けて約五年を経ての加工です。
その五年間に予測できる木材特有の割れと反りは皆無で、厚さを揃えると作業台にする合板にピタリと吸い付きます。切断する際に出る細かい粉塵は気中に舞い上がらず、それを手にしてみるとヒノキの油性をたっぷり含んでいるため、ノコギリの歯と製品の切断面にまとわりつきます。
加工中の香りは言うに及ばず、手のひらに着いた油性からでもじゅうぶんに漂います。
ちなみにこちらが木裏(きうら)面、玄人好みは木表(きおもて)よりもこちらかな。
ご覧の画像とモニターから、その価値と特性を十分にお伝えできないのが残念です。
一介の木材商として、木材の価値は樹齢にあることを改めて痛感した一日でした。